ワークする業務の作り方

By | May 27, 2021

大前提

そもそもやらなくてもよい業務はやらないに越したことはない。

上記は、社内リソースを無駄遣いしないという観点だけでなく、顧客や自社社員の期待を上回るサービスを提供してもロイヤリティ向上には一切影響がないという観点においても支持される(※推奨参考書籍:『おもてなし幻想』)

従って、業務設計に先立って、本当にその業務は必要なのかを確認すべき。

■当該業務が必要かどうかを判断するための二つのチェックポイント

ポイント1:当該の業務によって解決されるべき課題はなにか?
ポイント2:その課題は当該の業務によってしか解決できないのか?(当該の業務によるリターンは運用コストを上回っているのか?

ワークする業務に求められる要件

業務をワークさせるためには、下記の二つの要件を満たす必要がある。

・業務フローが定義されている(いつ・誰が・何をするか)
・各アクターに業務遂行の動機付けが存在している or 動機付けが存在しない場合は業務遂行の工数的コストと心的コストが十分に低い

後者を蔑ろにして業務フローを決定しても現場の人が決めた通りにやってくれないという事態になりがち。

現場の人が新しい業務フローを遂行しないという事態は作業者の心を考慮できていないという業務設計の欠陥に由来するのであって、新しい業務フローを遂行できない人々による「抵抗」に由来するわけでは決してない。

ユースケース1:営業部にKPI算出に必要な情報をSFAに入力してもらう

当該の業務によって解決されるべき課題
→KPIの算出によるPDCA

その課題は当該の業務によってしか解決できないのか?
→YES

業務フローが定義されている
→YES(※仮定)

各アクターに業務遂行の動機付けが存在している or 動機付けが存在しない場合は業務遂行の工数的コストと心的コストが十分に低い
→通常、営業部のメンバーにSFA入力の動機は存在しない。

■考察

営業部のメンバーにSFA入力の動機は存在しない営業部のメンバーにSFA入力の動機は存在しないため、「情報入力がないとボーナスが下がるようにする」などの動機付けの創出か、情報入力の簡素化を行わない限り、この新規業務の導入は失敗する

ユースケース2:3カ月に一回、任意参加の勉強会を開催する

当該の業務によって解決されるべき課題
→社員のロイヤリティの向上、採用広報のための材料づくり

その課題は当該の業務によってしか解決できないのか?
→Neutral

業務フローが定義されている
→YES(※仮定)

各アクターに業務遂行の動機付けが存在している or 動機付けが存在しない場合は業務遂行の工数的コストと心的コストが十分に低い
→YES(※任意参加のため、参加者には参加のための動機が存在している)

■考察

本業務の問題は、勉強会の開催が必ずしも「社員のロイヤリティの向上」や「採用広報のための材料づくり」という課題の解決に寄与しない点にある。
当ブログとしては「やらなくてもよい業務はやらないに越したことはない」の原則から、(会社主体の)勉強会開催の廃止を推奨

補足:業務フロー作成時の注意点

  • 作成した業務フローは実際の業務を網羅しているか?
  • 作成した業務フローは効率的か?
  • 作成した業務フローは実運用に組込み可能か?