前書き
少し前(少なくともWinter`21)までは「Community 360」という名称だった「顧客インサイト」の仕様について簡単にまとめてみたいと思います。
そもそも「顧客インサイト」とは何か?
有効化すると、コミュニティユーザ(≒取引先責任者)単位でExperienceサイト上でのレコードのView・投稿・Voteを追跡できるようになります。
また「顧客インサイト」コンポーネントを利用し、取引先責任者やケースのレコード上にそれらの情報を表示することが可能です。
設定方法
手順①:サイト>ワークスペース>管理>詳細>「顧客インサイトを収集」にチェックを入れて保存
手順②:取引先責任者・ケースそれぞれのレコードページに「顧客インサイトコンポーネント」を配置
仕様と注意事項
- 顧客インサイトのログデータはNetworkUserHistoryRecentオブジェクトに保存される。
- 上記データの参照には「顧客インサイトを表示」システム権限が必要
- 顧客インサイトの追跡対象は「レコードのView・投稿・Vote」の三つのみ
- 顧客インサイトはSandboxで利用できない(※表面的に設定を有効化することはできる)
- スマホアプリ版(Salesforce for Android/Salesforce for iOS)は追跡対象外
- 個人取引先では利用できない
ユースケースに関する覚書
「顧客インサイト」という機能の名称はいかにも「顧客に関するインサイトの提供」を含意していそうですが、実際のところ、マーケティングの観点ではあまり価値がないというのが個人的な意見です。
というのも、まず第一に顧客インサイトによる収集される情報は極めて限定的で、Experienceサイト外での顧客のActivityとデータ的に分断されています。またNetworkUserHistoryRecentがSetupオブジェクトであるという特殊性もあり、分析のためのデータの取得が容易ではありません*。当然、レポートを用いた情報の可視化もできません。
結論として、顧客のActivityないしEngagementの情報の追跡を行うのであればこの機能ではなくPardotやその他サードパーティーのツールで行うのがファーストチョイスだというのが個人的認識です。
*WHERE句なしのSOQLでデータを取得しようとした場合、下記エラーが発生します。
Implementation restriction: When querying the NetworkUserHistoryRecent object, you must filter using the following syntax: NetworkUserId = [single ID] or Id = [single ID] or Id in [Multiple Ids]