「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」について

By | April 14, 2021

前書き

年間所得が一定額を超えると扶養から外れ、それ以前と比べて下記のような違いが生ずる。
①扶養者が扶養控除を受けられなくなる
②それまでの被扶養者に課税が発生する
③それまでの被扶養者に社会保険への加入義務が発生する

本記事ではこの「扶養」制度の概要を理解することを目指す。

扶養とは何か?

扶養とは、子供や旧来の専業主婦に代表される自力生活者不能者に対する所得者による経済的保護を成り立たせるための税的制度である。

子供や一定所得を下回る配偶者は収入の多い人物の「扶養に入る」ことで、所得税や住民税の納税対象外となったり、健康保険の支払いが無料になるなどする。

扶養に一般に「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の二種類が存在する。

税法上の扶養

■税法上の扶養とは

所得税の控除・住民税の控除・配偶者控除・配偶者特別控除に関わる扶養のこと

■配偶者控除

下記の条件を満たす配偶者(控除対象配偶者)がいる場合、扶養者は一定の所得控除を受けることができる。

  1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
  2. 納税者と生計を一にしていること。
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

■配偶者特別控除

配偶者の所得が48万円を超えていて配偶者控除を受けられない場合にも、下記の条件を満たす場合は配偶者特別控除を受けることができる。

※配偶者の48万円を超えて直ちに所得控除が全額無くなることがないようにする(=配偶者の所得に応じて配偶者控除の金額が段階的に減額されるようにする)ための仕組み

  1. 控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
  2. 配偶者が、次の要件全てに当てはまること。
    1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
    2. 控除を受ける人と生計を一にしていること。
    3. その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
    4. 年間の合計所得金額が48万円超133万円以下(平成30年分から令和元年分までは38万円を超え123万円以下、平成29年分までは38万円を超え76万円未満)であること。
  3. 配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと。
  4. 配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)
  5. 配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除きます。)。

■~万円の壁

年収税法上の扶養
99万円住民税が発生
103万円所得税が発生
150万円扶養者の配偶者特別控除が満額ではなくなる
201万円配偶者特別控除がなくなる

社会保険上の扶養

■社会保険上の扶養とは

健康保険・厚生年金保険に関わる扶養のこと

■フローチャート

①「1日または1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が常時雇用者(正社員)の3/4以上」である ≒「週の所定労働時間が30時間以上」である
or
②下記の条件を全て満たす。
・勤務期間1年以上またはその見込みがある
・週の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が8.8万円以上
・昼間学生ではない
・会社の従業員が501人以上

→勤務先の社会保険に加入

[上記がNoの場合]

①社会保険に加入している配偶者が存在しない
or
②自身の年収が130万円を上回る

→国民年金および国民健康保険に自分で加入する

[上記がNoの場合(=社会保険に加入している配偶者が存在し、自身の年収が130万円未満の場合)]

→社会保険上の扶養の範囲

Author: Regardie

Salesforce & AWS Enthusiast.